これを読んでいる方の中には「ウールのニットを洗濯したら縮んじゃった!」という失敗をしたことがある方もいるのではないでしょうか…。
ウール製品のお洗濯には注意が必要ですが、最近では防縮加工を施した洗えるウール製品も多いです。
ここでは、ウールが縮む原因と、ウールの防縮加工が具体的にどのような加工なのかを解説していきます!
ウール繊維の表面構造
人の髪の毛と同じように、羊の毛にもキューティクルが存在します。
これは、毛の表面をうろこ状に覆っていてスケールと呼ばれます。 スケールは方向性を持っており、同一方向に並んでいるのが特徴です。 このスケールが、ウールが縮む鍵を握っています。
なぜウールは縮むのか?
ウールが水分を含むとスケールが立ち上がり、この状態で揉まれると、繊維が色んな方向を向き、スケール同士がからまり合います。 繊維のからまり合いが進んでいくと、徐々に生地の目が詰まっていき、全体がギュッと縮むのです。
ウールの繊維自体が小さくなっているのではなく、散らばっていた繊維がからまりあって密集しているイメージです。 この現象を縮絨 ( しゅくじゅう ) またはフェルト化と言います。 なので洗濯という行為は、水+揉むという縮絨に持ってこいの環境なのです。 (後加工ってなに?こちらの記事もご覧ください。)
では、洗えるウールって一体どんな加工が施されているのか?次の項目で解説します!
ウールの防縮加工
スケールを取り除く
まず1つ目は、糸同士がからまり合う原因となっている、スケールを取り除くという方法です。
塩素系の薬剤で処理をしてスケールを取り除くことによって、揉み作用が加わっても、繊維同士のからまり合いが生じなくなります。
繊維を覆う
次に生地に樹脂を塗布し、繊維を覆うことでフェルト化を防ぐ方法です。
樹脂で繊維を覆うことによって、繊維の移動が抑えられます。
また、前述した薬剤でスケールを取り除く処理と、樹脂の皮膜をどちらも施す場合もあります。
この樹脂加工には生地の風合いが硬くなるというデメリットもありますが、最近では柔らかい樹脂の開発もされているようです。
繊維を覆うという意味では、樹脂の他にもプラズマ加工という加工もあります。 これは繊維表面に親水のナノ皮膜を加工します。
ウールの防縮加工と言っても様々あるんですね。
いかがでしたでしょうか。 ウールが縮む仕組みから、それを防ぐ加工まで紹介いたしました。
maruamでも、防縮加工を施した洗えるウールの生地(WO天竺や、ウールWフェイス)を取り扱っていますので、是非チェックしてみてくださいね!