皆さんの手元に届く服や布製品は、どのような工程を経て完成されているかご存知でしょうか。
元となる織地や編み地などの生地は染めたり見た目をより美しくしたり、また快適に使えるよう処理を施されてから縫製され、製品となります。(もしくは縫製が済んだ状態で製品染めのように処理が施されることもあります。)そのように、生地に対して手を加えることを後加工といい、生地にする前の繊維そのものに機能を持たせることと対比して「後加工」と表現されています。
どんな加工を加えるかで、仕上がりは大きく左右されます。
デザインの一環としての後加工
見た目に変化をつける後加工についてです。
デザインに大きく影響するので目指す見た目に近づける最後の生地作りの工程とも言えると思います。 色合い、手触りなどの質感、風合いや伸縮度合いなどもコントロールします。
代表的なものとして縮絨加工があります。
毛織物やウールの編み地などに対して、出来上がった生地に対し緻密に毛を絡ませることでフェルト化させることの総称で、ウールのコートやマフラーによく見られます。フェルティングは大量の針で生地を叩くように刺すニードルパンチ機でパンチングして縮絨することも可能ですが、多くはお湯での洗い加工の手法をとります。
その洗い加工の中でも、縮みや毛羽立ちを最小限にとどめておくレベル、生地をふっくらさせるレベル、糸をしっかり絡ませて全体に縮むようなレベルなど、加工にかける時間や水で加える力の強さの違いなどで縮絨度合いは変化します。
機能を施す後加工
静電気を防止したり、衣類を臭わないようにするものなど、人が生地や製品を使用する上で感じる不快感を軽減させる、より快適に使用することを目指した機能を付加させるための後加工です。
その一つの例として撥水加工があります。生地の表面で水を弾いてくれるように科学的な処理を施します。レインコートやテントなどの水そのものを通さない防水とは違い、あくまでも表面的なものですが、素材の隙間を埋めないため通気性を保つことができます。多くはフッ素系の加工材が用いられ、フッ素の水や油をはじく性質を利用して、生地にその機能を持たせています。