昔のトレンド
昔のカットソー生地は重量感のある生地が高級品とされていました。
現在はジャケットやパンツが200g/m2を超えたら重いとされている中で、昔は300 g/m2とか400 g/m2が当たり前の時代でした。
何故重いものが良かったのか?
やはりそれは織物が全盛期だったからです。
その時代カッチリ、キッチリした織物のシャツやスーツ、コートに身を包む事が1つのステータスで、アンダーウエアや作業着のイメージが強かったカットソー生地では柔らかいし、シルエットがでないため、安価な素材とされていました。
カットソー生地で織物のようなスーツを作ろうとすると…空気を多く含むカットソー生地では難しく、どうしてもラフな格好に見えてしまいます。カッチリ、キッチリした生地を作ろうとすると、どうしても重たく、固い生地になっていました。
カットソーブーム到来
それから1970年代から徐々にストリート文化や映画の中では反抗的や自由を勝ち取るといった意味合いを含めて、Tシャツというものが1つの表現に使われるようになりました。ロゴをつけてみたり、プリントやペイント、はたまた切り刻んでみたり…
そうした中でシャツを着ていた織物一色の文化から徐々にTシャツとジーパンスタイルのラフな格好が受け入れられ、それに伴いカットソーも広まっていきました。
そして現在、生地が軽くイージーケアもできるカットソー生地は、生地の厚みや固さなどもコントロールができるまで成熟してきた為、スーツ地やコート、靴の生地までにも使われるようになりました。
時代の変化
日本にカットソー文化が入ってきて約60年。元は欧州のアンダーウエア用途の生地から始まった、カットソー生地がアメリカではTシャツ生地に変化し、どんどん進化を遂げています。
今や重いから高級ではなく、消費者に付加価値を感じてもらえれば生地が軽くても高級になり得ます。人の価値は時代によって日々変化しているもの。
生地が変化する時、もしかしたら時代が変化しているかもしれません。