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コラム

編みの歴史と機械化

公開日:
2020.11.27

ニットは連続した糸によって編まれた生地のことです。ここではニットの始まりから現代の量産編機に至るまでの「編み」の大まかな歴史の流れをたどってみます。

「編む」

編む、という言葉は糸や、竹、針金、髪の毛のように細長いものを絡ませたり組み合わせたりして、何かを形成する行為を指す、または複数の文章から読みものをつくる、編集するというようなこと、複数のものを一つにまとめあげることや計画を組み立てることなどを意味します。編み物とは、糸で編まれた衣類や装飾品、そういったものを作る行為を指します。
英語ではニットですが、ポルトガル語やスペイン語から靴下を意味するメリヤスという呼び方も浸透しました。

世界最古のニット※はシリアから発見されているようですが、編み物の発展は主にヨーロッパで育まれました。羊を飼い暮らす生活と冬の気候がニットの特性に当てはまり、広く用いられることとなったのでしょう。
(※ここでは、現在の編み物に近い「伸縮性のある素材で編まれた衣類」のこと。シリアの古代遺跡から出ている、かぎ針で編んだ帽子や靴下です。また、古代エジプトの遺跡からは、手編みの靴下やセーターも発見されています。)

手編みから機械編みへ

中世後期のヨーロッパでは羊毛生産が盛んになったことで編み物職人の組合が立ち上げられ、職業として確立していました。そのころは職人の手編み生地を産業としていましたが、16世紀の中頃にイギリスの牧師「ウィリアム・リー」が靴下編機を発明したのが最初と言われています。
初めはゲージ(別コラムのリンクが付きます)が荒い物でしたが、改良を重ね細い絹糸なども編めるようにしていったといいます。ちなみに最初は足踏み式の靴下編機でした。

現代の機械編み

その後、大量生産の現場においては、動力は人力から電機へ、さらに制御方法も複雑な模様にも対応するコンピューター制御に変わっていきました。
現在、様々な編機が稼働していますが、機械によってもそれぞれ編める生地の種類や、得意とする組織が違ってきます。

ニット機の例

様々な種類の編機が存在しますが、どれも大きく分けて経編み横編みのどちらかに区分されます。

縦編機

織物と同じように経糸を整経して編みます。
横編み機が左右への反復運動で横方向に編み目を作るのに対して、経編とは縦方向に給糸され、その糸同士の連結でループが形成されて編まれています。伸びが少なく、織物に似たような安定性のある編地になります。また、ラダリングというはしご状のほつれがないことが特徴にあげられます。

横編機

機械に対して横方向にまっすぐ編み針が並んでおり、左右に往復しながら横方向に編み目をつくりながら生地を編む機械。編みながらパターンの形をつくることもでき、成形編みといいます。

丸編機

横編機の一種です。
編み針が円形状に並んだ機械で、生地は筒状になって編まれます。横編みの一種ですが、丸編み機にはシリンダー(下釜)とダイヤル(上釜)の2種の針釜、針列があり、その2列を使用する編機をダブル機、ダブルニードルと呼びます。
また上釜がなく、シリンダーのみを使用する編機もあり、そちらはシングル機、シングルニードルと呼びます。カットソー(カット&ソーイング、生地の裁断と縫製が必要という意味です)製品に用いられます。

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