現在料を見ると、「ウール」と記載があるのに、手に取ってみると薄いと感じる服ってないですか?実はウールには梳毛糸と紡毛糸という種類があり、どちらを使用するかによって出来上がりの手触りや厚みが異なってくるのです。今回はその2つの違いについて説明します。
梳毛、紡毛とは
ウールには大きく分けて2種類の糸があり、製造工程の違いにより、それぞれ梳毛(そもう)、紡毛(ぼうもう)と呼ばれています。製造工程はそれぞれかなり違いますが、一番の違いは、櫛で梳いて均一性を出しているか(コーミングといいます)、出さずに不均一性があるかという部分です。梳毛はコーミング工程をしており、ウールに繊維が均一で一定方向を向いているために光沢があり、綺麗です。一方紡毛は、コーミングをしていないためにウールの繊維が不均一で繊維が色んな方向を向いたまま糸になるために綺麗ではないのですが、膨らみがあり、温かみがあります。
出来る番手
梳毛はコーミングにより一定の繊維長のウールで作られるため、細番手の糸を作ることが出来ます(1/32~1/120ぐらい)。紡毛は繊維が不均一なために太番手の糸を作ることに適しています(1/2~1/16ぐらい)。
梳毛紡毛の使い分け
梳毛と紡毛で性質やクオリティ感、番手が異なってくるため、作りたい生地に合わせて使い分けが必要になります。梳毛というと一般的には高級スーツ地で使われていますね(いつかはそんな高級梳毛スーツをビシっと買いたいものです)。
一方で紡毛は厚地のニットや、メルトンコート、またカーペットなどに使われています。しっかりとした、温かみをだすアイテムには紡毛糸を使うことになります。