生地の染色整理加工(※1)のひとつに、シルケット加工(またはマーセライズ加工)というものがあります。主に綿繊維(COTTON)に対して効果の高い加工になります。
今回は、このシルケット加工についてご紹介します。
(※1)染色整理加工:編んだ布を、洋服に使用できるように染めたり、風合いを付与したりする加工のことを指します。
シルケット加工の原理
綿の繊維は、その断面に空洞を持つ構造(図1)をしており、このため保温性に優れた繊維の一つとして知られています。
弊社にある丸編み機(※2)で編まれた布地(業界用語で、「生機(きばた)」といいます。以下、「生機」と記します)を、水酸化ナトリウム水溶液に浸すことで綿繊維が膨らみ、平べったい断面がまるまるっとした断面(図2)になります。これを膨潤と呼びます。
水酸化ナトリウム水溶液に浸す際、生機を縦方向にピンと張ることで、もともと可塑性の無い綿繊維に、張りのある状態を生機に記憶させることができます。
その後、酸により中和させることで安全な中性状態に戻します。このように、綿繊維を水酸化ナトリウム水溶液により改質させる加工を、シルケット加工と言います。
(※2)丸編み機:糸から生機を製造するための専用の機械です。大小様々ですが、全長3m、直径4mとかなり大きな機械もあります。
シルケット加工の効果
こうして生まれ変わった綿繊維には、未加工の綿繊維になかった特徴が付与されます。
1.まるまるっとした断面になることで、生地に光沢が出る
2.張りのある生地になる
3.縮みにくくなる
4.濃色に染めた際、色に深みが出る
上記のように、シルケット加工をすることで高級感があり、仕立て映えのする生地になります。
シルケット加工をしない生地では、綿本来の良さが感じられますが、現在ではシルケット加工を施した生地が主流です。
弊社には、シルケット加工を施した生地(Sophia、Leo、ダーンボⅢ etc…)を多数ラインナップしておりますので、ぜひぜひチェックしてみてください。