テキスタイルとファブリック
繊維業界で頻繁に使われる用語に、「テキスタイル(textile)」と「ファブリック(fabric)」があります。
ファブリックという言葉は、インテリアショップなど日常的な場面でも耳にすることがあるので馴染みがあるかもしれませんが、テキスタイルはやや専門用語的な印象がありますよね。そしてこのふたつ、意味が似ているので使い分けがよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここではテキスタイルとファブリックについて説明します。
意味・定義
まずは言葉の意味・定義から。
テキスタイル・ファブリック共に言葉の意味としては、「布・織物」が主たるところです。辞書によっては編物も意味するようなので、布類という意味でほぼ同義です。ただ、語源を辿るとニュアンスの違いが見えてきます。
ラテン語でテキスタイルは“texo”「織る、編む」とあり、かつてより布類を示す言葉として歩んできた様です。
一方ファブリックは“fabrica”「作業場」から始まり、次第に「作業場で作ったもの」すなわち「製品」という意味に変わり、18世紀中期以降に「織物」という意味が加わりました。
そして現在、ファブリックには、「組織・構造」といった意味も持つことから、時代と共に多義的になっていったことが窺い知れます。
以上のことを踏まえると、ファブリックがインテリア関連のシーンによく用いられていることにも納得できるのではないでしょうか。また、テキスタイルという言葉にあまり馴染みがないのは、一般的には生地または布という日本語が定着しているからではないでしょうか。